1.相続とは
よくある相談例
■相続する財産には,負債も含まれますか? 生命保険は?
→ 1
■代襲相続って何ですか?
→ 2
■相続税の申告は必ずしなければならないのでしょうか?
→ 4
1. 相続と相続財産
民法には,「相続は死亡によって開始する。」と規定されています。
このことは至極当然のことのようにも思えますが,旧法(戦前)の家督相続の下では,戸主が生前に「隠居」することによる相続もありました。
死亡して相続される人を「
被相続人」,相続する人を「
相続人」と言います。
そして,「相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」と規定されています。
「被相続人の財産に属した一切の権利義務」とは,文字どおり,被相続人の一切の財産を指します。
特に,不動産,預金,株式,保険,ゴルフ会員権,自動車などの名義変更を要するものが真っ先に頭に浮かびますが,これらに限られず,あらゆる財産が含まれます。
そして,マイナスの財産すなわち
債務も,相続財産として承継されます。保証債務も含まれます。
もっとも,
住宅ローン債務については,ローン契約に際して団体信用生命保険に加入していることが多く,その場合は,住宅ローン残高が保険会社によって支払われるため,住宅ローン債務を承継することはありません。
では,被相続人を被保険者とする
生命保険金も相続財産に含まれるでしょうか。ここで被保険者とは,生命保険に即して言えば,この人物の死亡に対して保険金が支給される,いわゆる保険にかかっている人のことを言います。
受取人も被相続人となっている保険の場合(養老保険など)は,相続財産となりますが,
受取人が被相続人以外の人(例えば相続人のひとり)になっている保険の場合は,相続財産とはなりません。
したがって,例えば,夫が,妻を受取人とする生命保険をかけていたような場合は,その保険金は相続財産には含まれず,妻の固有の財産となります。
2.法定相続人
誰が相続するかは,有効な遺言がない場合には,民法の規定によって決まります。この法定相続人は,次のような順序で決まります。
①被相続人に子がある場合.......被相続人の
子と配偶者 ②被相続人に子がない場合.......被相続人の
直系尊属と配偶者
※直系尊属とは父母や祖父母のことです
③直系尊属が死亡している場合...被相続人の
兄弟姉妹と配偶者 このように,配偶者(ただし内縁関係は含みません)は常に相続人となります。
また,父母や兄弟姉妹は,それぞれ上位の相続人がいない場合にのみ相続人となります。
ですから,子と父母,あるいは父母と兄弟姉妹が同時に法定相続人となるようなことはありません。 なお,上の②の「子がない場合」とは,「子が既に死亡している場合」とイコールではありません。
被相続人の子が既に死亡していても,その子(つまり,被相続人にとっては孫になります)がいる場合には,この被相続人の孫が,被相続人の子の代わりに相続人になります。このことを「
代襲相続」(だいしゅうそうぞく)と言います。
さらに,被相続人の孫も既に死亡していても,その子(被相続人にとってはひ孫になります)がいる場合には,その人が相続人になります。このことを「再代襲相続」と言います。
同様に,被相続人の兄弟姉妹が既に死亡していても,その子(被相続人にとっては
甥や姪になります)がいる場合には,その人が,被相続人の兄
妹の代わりに相続人になります。
しかし,この甥や姪が既に死亡している場合には,その子はもはや相続人にはならないので,注意が必要です。
つまり,兄弟姉妹については「再代襲相続」がありません。
3.法定相続分
そして,各法定相続人の相続分について,民法はつぎのように規定しています。
①相続人が
子と配偶者の場合.........配偶者が2分の1,子が2分の1
②相続人が
直系尊属と配偶者の場合...配偶者が3分の2,直系尊属が3分の1
③相続人が
兄弟姉妹と配偶者の場合...配偶者が4分の3,兄弟姉妹が4分の1
配偶者がいない場合は,子か直系尊属あるいは兄弟姉妹が全部を相続します。
そして,子や直系尊属,兄弟姉妹が数人あるときは,
頭割りしたものが各自の相続分となります。
この点の例外として,現行民法では,
非嫡出子(法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子のことをいいます)の相続分は,嫡出子の相続分の2分の1とされています。同様に,父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とされています。
4.相続税
相続税の申告と納付は,被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
相続税のことを心配をされる方が少なくありませんが,実際には,相続税が発生しないケースの方が圧倒的に多いです。
「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」の基礎控除があるためです。
遺産が基礎控除額の範囲内であれば,納税はもちろんのこと申告すら不要です。 また,相続税が発生する場合でも,様々な特例が設けられています。そして,相続が発生する以前の相続税対策こそが重要です。
当事務所では,税金の専門家である税理士と連携を取って,依頼者の方の税負担の軽減に努めます。