コラム 140 羽賀研二さんの事件にみる,差押え対象財産と財産分与の関係 2017/5/16

 

元タレントの羽賀研二さんは,現在,詐欺罪などで服役中ですが,その詐欺の被害者から約4億円の返還を求める民事訴訟を提起され,第一審がこの被害者の請求を認容し,羽賀さんが控訴するも,この第一審の判断が維持されたということです。

 

しかし,この控訴審の判決前に,羽賀さんが所有していたテナントビルなどが元妻に財産分与されていたことが報じられていました。

被害者は,この不動産を近く差し押さえる予定であったということですが,元妻に所有権が移転しているため,このままでは差押えはできないことになってしまいます。

被害者は「財産隠しの可能性もあり法的手段を検討していく」と話しているそうです。

 

財産分与請求権は離婚に伴って発生するものであり,離婚後も請求可能です(ただし,離婚から2年以内に請求する必要があります)。

財産分与の内容としては,夫婦が婚姻中に形成した財産を清算するというのが本旨ですが,慰謝料の意味合いのものも含まれることがあります。

ただ,財産分与にしては過大にすぎるということであれば,その過大な分については「詐害行為」として取り消されることがあります。

ですので,この被害者が言うように「法的手段を検討していく」余地がまだ残されていることになります。

 

しかし,元妻には何かしら財産分与が認められる可能性もあるわけで,被害者は財産分与として過大であることを主張・立証しなければならず,しかも,その過大な分しか取り戻せないことになります。

 

このニュースをみて不思議に思うのは,被害者が「この不動産を近く差し押さえる予定であった」という点です。

つまり,「なぜ,仮差押えをしていなかったのか」という疑問です。

裁判で認容される可能性があり,かつ財産をあらかじめ保全する必要性がある場合には,本件で言えば,民事訴訟を提起する前でも,裁判所の手続きを経て,この不動産を仮に差し押さえることができます。

 

仮差押えをするためには,保証金を用立てる必要があり,これが結構な金額になることもあります。

これを用意できないことが仮差押えをするうえでネックとなることもあります。

ただ,たとえ勝訴しても回収できなければ判決書は「絵に描いた餅」に等しいです。

取りっぱぐれる危険性がある場合は,仮差押えなどの保全処分ができないかをシビアに検討する必要があります。

 

なお,羽賀さんは沖縄出身で,問題となった不動産は沖縄にもあるらしく,また,現在,沖縄刑務所で服役しているそうです。

 

弁護士 大川 浩介

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