年間100日の面会交流のインパクトはいかほどか? 2017/2/1

 

コラム112

9歳の長女の親権をめぐる注目の判決が東京高裁で1月26日にありました。
妻が長女を連れて別居して6年以上経過して,この間,夫と長女の面会交流も途絶えていたなかで,原審の千葉家裁松戸支部判決は,別居親である夫の方に親権を認めました。
夫は,年間100日程度の長女との面会交流を妻に認めることを提案していました。

ただ,この100日面会交流プランがもっぱら評価されて,このような判断がなされたとは考えにくく,夫を親権者とした裁定の背景には何か重大な事情があったのか,あるいは,原審の判断に無理があるかのどちらかとみていました。
この裁判例を援用して,充実した面会交流計画を示して親権を争うケースも見聞しました。

反対の判断をした高裁は,長女が妻のもとで順調に育っていること,妻と一緒に暮らす意向があることなどを強調していて,従来どおりの,ある意味「おさまりのいい」判断を示したと言えます。

ただ,親権が争われている事案なのに,この6年間もの間,父子の面会交流がなかったことはやはり異様です。

逆転勝訴した妻は,月に1日程度の面会交流を主張していたそうです。
6年間も断絶があったにもかかわらず,その程度のペースの交流で,このブランクを埋めることができるのか,父子関係をこれから築いていくことができるか,が心配されるところです。

難しいことですが,夫婦の問題と親子の問題を切り離して,夫婦の問題では言葉の限りを尽くして争うようなことがあっても,同居親が,子どもと別居親の面会交流には理解を示し,良好な交流を保ちたいところです。
そのような夫婦は,ちょっと変な言い方になりますが,ある意味,素敵な夫婦であると言えます。

弁護士 大川 浩介

 

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