面会交流拒否1回につき100万円,高額すぎるかそうでないか? 2017/2/17

コラム117(圧縮)

昨年10月,長女と別居している母親が,長女との月1回の面会が裁判所で認められたのに,長女と同居している父親がこれに応じないとして間接強制の申立をし,東京家庭裁判所が面会交流1回の拒否につき100万円を支払うよう命じる決定がありました。

間接強制とは強制執行の一種で,裁判所の判決等で決まった義務を履行しない者に対し,義務を履行しない場合は金銭を支払えと命じるもので,これにより義務者に心理的な圧力をかけて義務の履行を確保するものです。
裁判所は,面会交流を履行しない場合についても一定の要件のもとでこの間接強制を認めています。

父親がこの決定に対し不服申立をし,今年2月8日,東京高等裁判所が「100万円はあまりに過大である」と1回の面会拒否につき30万円とする決定をしました。

面会交流の間接強制の場合,通常は数万円程度,高くても20万円程度が相場なので,この100万円というのは非常に高額です。
この100万円,確かに相場と比較すると異例の高額ですが,そもそも間接強制とは本来の義務を履行させるための制度ですから,最初の取り決めに従い面会をさせれば支払う必要がない金銭です。
この100万円の決定があった後,長女と母親は数年ぶりに面会が実現したそうです。
父親の経済状況が「30万円」の支払いがそれほど苦痛でないものであれば,また面会交流が途絶える可能性もあります。
そう考えるとこの100万円という決定も一定の意味はあったのでしょうね。

弁護士  辻 祥子

 

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