テレビ番組の録画を勝手に消したことが離婚原因? 2017/3/28

 

「NEWSポストセブン」というインターネット記事で,60代の夫が,録画していた大河ドラマ「真田丸」を削除したところ,妻が逆上して,現在は離婚協議中であるとのエピソードが紹介されていました。
妻は普段は大河ドラマをみないらしく,そのため,夫は自分が見終えたため,削除したそうです。
「『えっ,こんなことで!?』と耳を疑いたくなるような理由で妻から三行半を突きつけられる夫が増えている」という文脈での紹介です。

しかし,もちろん,この録画番組の削除は,離婚の原因などではなく(ないはずです),妻が離婚を切り出す単なる契機にすぎません。
それまでに不満を蓄積させるような出来事が多々あった果てのことであろうと考えられます。
いや,妻の方は単なるきっかけがほしかっただけであった可能性すらあります。

 

実際に離婚したいという相談をお聞きしていても,わかりやすい大きなできごとが格別ないケースは少なくありません。
ひとつひとつとしては些細なエピソードではありますが,それが積もり積もって,ついに我慢しかねて離婚を求めることになったという人が結構多いです。
このようなケースでは,相手方配偶者とで温度差が激しくあることが珍しくないです。
つまり,離婚を切り出されても,相手方は全くピンと来ないというパターンです。

 

また,小さな不満を溜め込んでしまう人も多いです。

小さな不満を溜め込んでしまう,小さな不満を相手方に現さない。
夫婦という「臓器」のなかにやがて大きな腫瘍ができてしまい,気づいたときには処置ができないものになってしまっていた。そんなイメージです。

 

小さなできごとであっても,その時々に不満を相手に表出することができていれば,違う結果になっていたかもしれません。
相手が改めるかもしれないし,改めることはなくとも多少は気をつけるようになるかもしれません。また,不満を現したことによって気が済むこともあるでしょう。

 

喧嘩をしたり,言い合いをするようなことが全くない夫婦が「うまく行っている」とは限りません。

どちらかが我慢を続けているだけ,明日には離婚問題が勃発するかもしれません。
そういう意味では,ちょっとした衝突が時々ある方が健全なのかもしれません。

 

「最近言い争うようなことがなくなったな。」という,そこの貴方。
どちらかが我慢を重ねているだけ,あるいはコミュニケーションの総量が減っているだけかもしれないので,ご注意を。

 

弁護士 大川 浩介

 

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