タンス預金が急速に増えている理由は? 2017/4/5

 

コラム130(圧縮)

タンス預金,すなわち銀行に預けたりせずに自宅で現金で保管する「預金」が増えている,しかも急速に増えていると言われています。
このタンス預金については,コラム30でも,財産分与という切り口で採り上げました。
コラム 30 タンス預金の財産分与 2016/3/15

その当時からタンス預金が増えていると指摘されていて,超低金利がその要因であると分析されていました。
ただ,近時の増加率は激しく,ここ3年で3割強に及ぶと言われています。
この急激な増加は,単に超低金利という一事では必ずしも説明がつきません。
自宅で高額のお金を保管するとなると,安全性を考えると金庫を新調する必要もあるでしょうし,余計なコストがかかってきます。

そのようななか,「財産債務調書」との関連性が取りざたされています。
これは昨年から新設された制度で,3億円以上の財産を有するなど一定の要件を満たす人は,資産の内訳を記した調書を提出することが新たに義務づけられました。
もちろん,この調書は相続税課税などの局面で徴税当局にとっては有用な情報となるわけで,預金などの形式になっていれば完璧に捕捉されることになります。

そこで,この調書を契機に,適正な相続税対策に励むのではなく,財産をみえにくくする一環として,このタンス預金が増えているのではないかと指摘されているわけです。

1万円札は意外とかさばるため,このような必要性のある一部の人は,10万円札などの高額紙幣の導入が待たれることでしょうが,むしろ外国では高額紙幣が廃止される傾向にあるそうで,10万円札がお目見えすることはなさそうです。

弁護士 大川 浩介

 

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