「この人と結婚するかも。」という直感は信用できる? 2016/2/23

 

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あるインターネットの記事で紹介されていた結婚経験者に対するアンケートによると,「出会った瞬間に『この人と結婚するかも』と思って実際に結婚した」人の割合が21.4%であったとのことです。男女の性差はほとんどなかったそうです。

5人にひとりというのはさすがにちょっと多すぎるかなという印象ですが,第一印象がとてもよかった相手とそのまま短期間の交際を経てゴールインするカップルは珍しくありません。しかし,そのアンケートでは,そのようにして結婚したカップルの方が離婚率が1.6倍高かったという結果も記されていました。
たしかに,むしろ第一印象がいまいちだった,もっと言えば最悪だった,というケースの方が良いカップルになっているという気がします。離婚相談に来られた方の話を聞くと婚姻当初から違和感を抱いていたという人が少なくありません。  また,「結婚した途端,相手が変わった。それまではいい人だったのに。」という言葉もよくお聞きします。
ただ,結婚するや否や人が本当に変わってしまったというケースはレアで(そのようなケースもなくはないです),実際には結婚するまで見えてなかった面が見えてきたということかと思われます。生まれてから大人になるまで別の人生を歩んできた者同士が共同生活をするというのは,よくよく考えると一大事業,難プロジェクトであって,それはあたかも異なる軌道を辿っていた宇宙ロケットがドッキングするようなもので,とても繊細さが要求される作業なのかもしれません。

同じような性格・価値観であると言っても,ことごとく細部まで同じということはあり得ず,本人たちの予想に反して次第に歪みが出てきます。また,好対照な性格・価値観であると言っても,あまりにも違いすぎるとやはり無理が出てきます。慎重を期すためには,結婚前にしばらく同棲してみる,それができなくとも少し長めの旅行に出かけるといったことをしてみると,それまで見えてこなかった面がたくさん見えてくるはずです。

また,相手の親御さんとじっくりとコミュニケーションをとってみることも有意義です。これまでの相談の経験上,親御さんと合わないときは,実は本人とも合わないという可能性が高いように思います。 親御さんのもとで暮らして大人になったわけですから,本人が自覚している以上に,いろいろな面で親御さんの影響を色濃く受けています。
もっとも,子どもの誕生や自宅の購入,転職といった転機を迎えないと本当の相性はわかりづらいです。
結局は,結婚してみないとわからないというのが本当のところかもしれません。

※吊り橋の画像は,このコラムのテーマと,いわゆる「吊り橋理論」「吊り橋効果」をかけています。
脳は生理的に興奮している状態にあると「自分が恋愛している」と認識してしまうという心理学上の学説で概ね正しいとされています。
大勢の外国人に絡まれているところを助けてもらった男性と結婚したという方を知っています。
この理論によれば危うい結婚になりそうですが,元々相性がよかったのか,幸せな結婚生活を送られています。

弁護士 大川 浩介

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