住宅ローンは離婚のリスク要因? 2015/12/15

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離婚事件を手がけていて頭を悩まされるのが住宅ローンの問題です。
財産分与はもちろん,婚姻費用や養育費にも影響を及ぼします。
賃貸の事案よりは離婚の「かたち」が確実に複雑になります。
熟年離婚の場合,住宅ローンを既に完済していることも少なくありませんが,30代や40代の場合,債務が残っているどころか,不動産の現在価値より住宅ローン残の方が多いことも珍しくありません。
このような状態のことを「オーバーローン」と呼びます。不動産がオーバーローンの場合→ https://www.aneyalaw.com/property/12030/ 

また,買い換えたり,新たにマイホームを購入して,35年ローンを40歳前後で組む方も少なくなく,通常返済を続けるとなると,定年退職するなどリタイアした後もローンを払い続けることになります。
もちろん,それでは大変なので,実際には退職金を当てになさる方も少なくありません。
退職金でローン残を繰り上げ返済して完済させるなどして,ローンの負担をなくしたり,減らしたりします。 ただ,離婚が絡むと,この計画は一気に崩れてしまいます。
それは退職金も,定年退職までの「残り時間」などによっては離婚の際の財産分与の対象となり得るためです。

おおむね,婚姻後に相当する退職金の半分を配偶者に分与することになりますから,住宅ローンの返済に退職金を当て込むことができなくなります。 かといって,多額の住宅ローンが残っているため,不動産を売却処分することも儘ならなくなります。

このように住宅ローンを抱えるということは離婚という局面ではいろいろとリスク要因となります。

しかし,実際には,マイホームの購入直後に離婚の危機に直面する夫婦が珍しくありません。
それはマイホームが人生で最大の「買い物」であることと無関係ではないように思います。 実際に購入するまでには数え切れないほどの難しい「選択」を迫られ,その過程でお互いの物の考え方や価値観の違いが浮き彫りになることが多く,それがこれまでくすぶっていた配偶者に対する不満を再燃させることもあります。
多数の相談をお聞きしていて,出産とならんで,このマイホームの購入が夫婦関係の悪化の契機とな
ることが多いように感じています。

弁護士 大川 浩介

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