コラム 167 退職金と財産分与 その①-退職前の退職金は財産分与の対象になるのか?- 2017/9/22

 

 

離婚の時点では,夫(もしくは妻)がまだ退職しておらず,実際に退職金が支給されていない段階で,退職金を財産分与の対象とすることができるのでしょうか?

 

退職金は,賃金の後払いの性質もあり,配偶者のサポートがあったからこそ働き続けるけることができたと考えられるので,退職金がまったく財産分与の対象とならないとすると不公平です。もっとも,離婚の時点でまだ退職していない場合,将来退職金が支払われるのか不確実なので,あらゆる場合に退職金が財産分与の対象となると考えることは出来ません。
そこで,裁判所では,退職前の退職金が財産分与の対象となるか否かは,離婚の時点で将来退職金が支払われることがどの程度確実に見込まれるかという観点から考えています。

 

退職金の支払いの確実性は,退職までの年数(①),勤務先の属性(②)の二要素から判断されます。①は,当然ながら退職までの年数が短いほど確実性が大きくなります。②は,勤務先の倒産の可能性,業績変動の可能性などから,公務員,大企業などは確実性が大きいと考えられ,中小企業は確実性が小さいと考えられます。

 

私が経験した中では,勤務先が国や地方公共団体(公務員)や独立行政法人の場合は,40歳代半ば(定年退職まで十数年)であっても裁判所は退職金を財産分与の対象としています。一部上場の大企業の場合も40歳代後半で財産分与の対象としてます。このように勤務先が倒産したり業績の影響で退職金がなくなる危険が小さい場合は,40歳代であっても退職金を財産分与の対象とする判決が言い渡されています。

                                            

                                                   弁護士 辻 祥子

 

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