離婚後の生活が不安な方へ

20210528山崎女性が離婚をするとき、一番の不安は離婚後の生活費だと思います。

そこで、離婚したら生活費はどうなるのか、離婚時に夫に請求できるお金、離婚後に受け取ることができるお金について説明します。

 

離婚後の生活費

(1)自分の生活費は自分で

夫婦は、収入などの事情に応じて互いの生活費を分担する義務(民法760条)があります。しかし、離婚が成立するとこの義務がなくなるため、それぞれ自分の収入で生活をしていくことになります。

離婚後は夫に生活費を請求できないので、離婚するときには、離婚後の生活をどうやって成り立たせていくかをしっかり考えておく必要があります。

(2)生活費の援助

中には、離婚後すぐに職につくことが難しい場合などに、夫に離婚後の一定期間生活費の援助をたのむような場合もあります。しかし、このような生活費の援助は法律で認められている権利ではなく、あくまで夫が任意に応じてくれた場合のみ受け取れるものです。実際のところ、このような援助を受け入れる夫はごくまれです。

離婚時に相手に請求できるお金

(1)財産分与

夫婦が婚姻中に協力してきづいた財産を離婚時に分けることを「財産分与」といいます。財産分与の割合は原則として1/2です。簡単に説明すると、婚姻中にきづいた夫名義の財産と妻名義の財産を足して2で割った金額を、それぞれが確保するということになります。

財産分与の対象は、あくまでも「夫婦が協力してきづいた財産」です。親族からの贈与、婚姻前からの財産は対象外となります。

主に次のようなものが財産分与の対象となります。

・預金(婚姻後に形成したもの)

・不動産

・車

・株・投資信託

・保険(解約返戻金があるもの)

・退職金

>>財産分与について

(2)養育費

子どもがいる場合は、親権者となり子どもを引き取る方が、相手に対し子どもの養育費を請求できます。

養育費の金額は、裁判所で決める場合には、標準算定方式による算定表に基づいて決まります。当事者同士で話し合って決める場合も、通常、この算定表に基づいて決めています。もっとも当事者間で合意が成立するのであれば、算定表の金額でなくてもかまいません。

>>養育費について

(3)慰謝料

離婚が、いずれか一方の不法行為によってもたらされた場合には、相手に対し慰謝料が請求できます。

「慰謝料」という名前から、離婚に至る原因において何らかの精神的な苦痛を被ったら慰謝料を請求できると思われがちです。しかし、慰謝料の請求が認められるのは「相手の不法行為によって」「精神的な苦痛を被った」という条件を満たす場合のみです。暴力や不貞行為などの不法行為の場合には、慰謝料は請求できますが、いわゆる「性格の不一致」が離婚の原因であるような場合には、慰謝料は請求できません。

>>慰謝料について

公的支援制度

離婚後、子どもを育てながら働くのは負担が大きいものです。その負担を少しでも軽くするために、様々な公的支援制度があります。公的支援制度の具体的な内容は各自治体により異なるためここでは京都市を例に説明します。(それぞれの自治体により名称や具体的内容がちがうので、くわしくはご自身がお住まいの市区町村で確認して下さい。)

(1)児童手当

0歳から中学校卒業までの児童を養育している場合に支給されます。(これはひとり親に限らず条件を満たせば支給されます。)

(2)児童扶養手当

ひとり親家庭の18歳までの子どもを監護している方が請求できます。(18歳の誕生日で終了ではなく18歳の3月まで請求できます。)

金額は所得や子どもの人数により異なります。

京都市の例ですと次のようになっています。(2023年2月時点)

(子ども一人の場合)

全部支給で43,070円、一部支給で所得に応じて10,060円~43,060円

(第二子)

全部支給で10,170円、一部支給で所得に応じて5,090円~10,160円

(第三子以降)

全部支給で6,100円、一部支給で所得に応じて3,050~6,090円

また所得が一定額を超えると支給の対象外となります。

(3)ひとり親家庭等医療費支給制度

ひとり親家庭の子ども及び親が健康保険証を使って医療機関を受診した場合、窓口で負担する医療費を京都市が負担する制度です。

所得が一定額をこえると支給の対象外となります。

(4)京都府あんしん修学支援制度

私立高校に通う生徒の学費支援の制度です。(ひとり親に限らず条件を満たせば支給されます)

支援の内容は世帯の年収により異なりますが、京都府の場合、世帯年収が590万円未満の場合、年間最大65万円の支援が受けられます。

(5)母子父子寡婦福祉資金貸付事業

ひとり親に向けて各種資金の貸付制度があります。

(貸付金の種類)事業開始資金、事業継続資金、技能習得資金、就職支度資金、住宅資金、転宅資金、医療介護資金、生活資金、修学資金、修学支度資金、修業資金、結婚資金など )

貸付の条件等についてはこちらで確認して下さい。

(6)自立支援教育訓練給付金

ひとり親が教育訓練講座を受講する場合に、入学金や受講料の一部に相当する金銭が支給されます。

(7)高等職業訓練促進給付金等

ひとり親が一定の専門職(看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士、調理師など)の資格取得のための養成訓練を受講している間、一定の給付金を受けることができます。

 

その他、ひとり親を対象とした貸付制度など、それぞれの自治体でひとり親を支援するための制度が用意されています。離婚後の不安を解消するためにも、離婚を考えたらお住まいの市区町村の役所で情報収集をしましょう。