モラハラ(モラルハラスメント)とは?

この記事を読むのに必要な時間は約5分52秒です。

辻本先生

1.モラハラの定義

 モラル・ハラスメント(モラハラ)とは「言葉や態度によって相手に継続的に恐怖や苦痛を与えることによって相手を支配すること」とされています。

フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌによって提唱された概念で,以下の説明は,彼女の著書「モラル・ハラスメント」(紀伊國屋書店)を参考にしています。
平たく言えば,精神的暴力,精神的DV,言葉の暴力,嫌がらせです。
「配偶者からの暴力」と言うと,身体に対する暴力のイメージが強いでしょう。これがドメスティック・バイオレンス(DV)の典型例であることはたしかです。

しかし,DVには,身体に対する暴力に限らず,この精神的な暴力も含まれます。モラハラの「攻撃」は,そのひとつひとつをとってみると「暴力」とまでは評価しにくいことが多いです。

平成13年に施行されたDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)の1条は,「配偶者からの暴力」をつぎのように定義しています。

① 配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの)

② ①に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動

モラハラは,この②に該当しうることになります。

>>モラハラと夫婦喧嘩はどう違うのか?

2.モラハラに関するよくあるご相談

・「色々な理由で怒られます」

・「気に入らないことがあるとキレます」

・「頼み事をしたら『あんた何様?』と言われたので言えなくなりました」

・「言うことを聞いていたら機嫌がいいので相手を怒らせてしまう自分が悪いと思っていたんです。相手からも『怒らせるオマエが悪い』   言われてました」

婚姻生活がつらくなり友人や親族などに相談し「それはモラハラじゃないか」と指摘を受け,自分が悪いのではない,自分1人がガマンしなくてよいと気付きます。

モラルハラスメントという概念が浸透し,この点に気付くのが早くなっているように感じます。どちらも,継続的に相手にダメージを与え,相手に苦痛や恐怖を植えつけることによって,相手を支配します。ただ,その手段が直接的な暴力なのか,言葉や態度なのか,という違いがあるだけです。

>>モラハラの被害者がとるべき行動

3.モラハラの構造とその有害性

実は,モラハラも,身体に対する暴力も,その構造は同じです。

どちらも,継続的に相手にダメージを与え,相手に苦痛や恐怖を植えつけることによって,相手を支配します。ただ,その手段が直接的な暴力なのか,言葉や態度なのか,という違いがあるだけです。

実際には,配偶者からモラハラ被害を受けているケースは少なくありません。しかし,モラハラが「見えにくい」こともあって,被害者にそのような認識がないことも珍しくなく,相談にお見えになった方にモラハラの特徴をご説明すると,自分のケースにぴたりと当てはまるとおっしゃって驚かれることがあります。そして,加害者の方も,配偶者にモラハラをしているという認識がないのが一般的です。つまり,モラハラの被害者も加害者のどちらもが,モラハラの認識がないままであることが多いのです。モラハラの加害者は,配偶者のことを「人格を備えた対等な関係にある人生のパートナー」として尊重していません。そこにあるのは支配・服従の関係であり,正常な夫婦関係とはいえません。

したがって,モラハラの被害者は,このいびつな夫婦関係を解消することを真剣に考える必要があります。

モラハラの被害者は,いわばホディ・ブローを受け続けるようなもので,徐々に,しかし確実に自己イメージが損なわれていきます。自分のことを大切に思えないなか,「悪いのは自分である。」,「自分さえ我慢すればよい。」といった思いを募らせがちです。そして,「子どものために。」と考えて婚姻生活を続ける途を選ぶ人も少なくありません。たしかに自分が我慢し続ければ,婚姻関係はいつまでも続くことでしょう。

しかし,そのような夫婦関係のもとで子どもが成長していくことの影響を考える必要があります。

モラハラの加害者の両親の関係をみてみると,やはり何らかの深刻な問題を抱えているケースが多いです。このような「モラハラの連鎖」が確実に存在するように思います。

つまり,我慢して婚姻関係を続けることが実は「子どものために」ならないおそれもあるわけです。

モラハラの被害者は,自分のためにも,そして子どものためにも,モラハラの夫婦関係に決着をつける必要があるのです。

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