モラハラと夫婦喧嘩はどう違うのか? 2019/08/02

 

 

コラム20190802

 

 

ご相談を受けていて、ご相談者や相手方が「モラハラ被害を受けている。」と訴えてはいるものの、単なる夫婦喧嘩などで折り合いが悪くなっているにすぎないケースを時々みかけます。

 

どちらも夫婦の危機であることに変わりありません。

 

その区別が常に明確であるとは言えませんが、両者の大きな違いは、恒常的な関係性として、一方が他方を支配しているか、上から抑えつけているか否かにあると言えます。

 

普段は対等に渡り合っていて、口論になっても負けてはいない(むしろ優勢に進めている)けれども、エキサイトした時にどちらかが一方的にまくしたてたり、さらには手をあげたりして他方が防戦一方になるとしても、その時に強く出た方がモラハラをしているとは必ずしも評価できません。

 

モラハラの場合は、他方に絶えず服従させられている、コントロールされているという意識があり、常に恐怖感を抱いているケースが一般的です。

 

本来、夫婦は対等なパートナーシップ関係にあるべきですが(もちろん年齢差や性格によって多少は上下関係があっても上手くいっているケースもあります)、モラハラ夫婦の場合は、固定的でかつ圧倒的な上下関係・支配服従関係が厳然と存在します。

 

モラハラの場合は、一方が他方を完全に見下している、敬意を払う場面が全くないことが多いです。

モラハラを受けている方は、相手を見下したり軽蔑したりなどしません。と言うか、怖くてできません。と言うか、そんな発想すら持てないことが多いです。

 

これに対して、単に仲が悪いだけの夫婦の場合は、互いに、相手のことを見下したり軽蔑しきったりしています。

 

もっとも、どちらのケースであるかを見極める必要は必ずしもありません。

 

モラハラの場合は、一方に帰責性が大きいとして離婚慰謝料が発生し得ますが、その立証は容易ではなく、また長期化は必至ですので、慰謝料を求めることが得策であるとは限りません。

 

ただ、モラハラの場合は、被害を受けている方のダメージが蓄積し、やがて離婚する気力すら失ってしまうことがあります。

単なる夫婦喧嘩であれば、互いの距離を置けば何とかやり過ごせるかもしれませんが、モラハラの場合はそうはいきません。

 

また、単なる夫婦喧嘩の場合は、自分が他方への「当たり」を弱くすれば、向こうからの「当たり」も弱くなり、深刻化することを避けられることもありますが、モラハラではそのような努力の余地はありません。

 

つまり、モラハラの場合は、相手から早く「避難」する必要性がより高いと言えます。

 

そして、離婚を決意した場合も、手強い相手ですので、戦略を立てて臨む必要性が高いとも言えます。

                                            

                                               弁護士 大川 浩介

 

バックナンバーはこちら>>

 

The following two tabs change content below.
姉小路法律事務所

姉小路法律事務所

姉小路法律事務所は,離婚,慰謝料,相続・遺言などの家族関係・親族関係の紛争(家事事件)に力を入れている京都の法律事務所です。なかでも離婚・慰謝料事件は,年間300件以上の相談をお受けしており,弁護士代理人として常時数十件の案件を取り扱っております。弁護士に相談するのはハードルが高いとお考えの方も多いかもしれませんが、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。男性弁護士・女性弁護士の指名もお伺いできますのでお申し付けください。 |弁護士紹介はこちら
姉小路法律事務所

最新記事 by 姉小路法律事務所 (全て見る)