モラハラでは離婚できない? 2019/04/12

 

 

コラム20190412

 

 「配偶者からモラハラ(モラル・ハラスメント)を受けているが,モラハラは離婚原因とならないんですよね?」

 

 

時々このようなご相談をお聞きします。

 

モラハラという言葉は,三船美佳さんの離婚で一気にメジャーになりました。

 

たしかにモラル・ハラスメントが離婚原因であるという認定を受けることは一般的に難しいです。

 

その要因はいろいろありますが,そもそも,モラハラに当たるかどうか,当たるとしてそれが婚姻関係を破綻させたと言えるかどうかが判然としません。

 

そして,明白にモラハラに当たり,また,客観的には婚姻関係を破綻させるものであったとしても,夫婦間・家庭内で行われるため,そのような事実があったことの証明が難しいという要因も挙げられます。

 

さらに言えば,モラハラをしている側にその意識・自覚がないという要因も,実は大きいです。

ここが単純な夫婦間の暴力とは異なる点で,モラハラをしている側は,なぜ離婚を求められているかを,さらには自分に非があることを,全く理解できないというケースもよくあります。

それだけにモラハラの事案では婚姻関係の修復が難しく,「モラハラは改まらない。」と言われる所以でもあります。

また,モラハラの「加害者」にはプライドが高い人が多く,こちらが離婚を求めれば求めるほど強く反発して離婚を頑迷に拒むこともあります。

 

とはいえ,それでも戦略的に取り組んでいけば,一転して相手方が離婚に応じることもよくあります。

 

ただ,別居することは必須であると思われます。

モラハラ被害に遭っていたのに同居したまま離婚を迫ることなど不可能であるケースが多いのですが,相手方の方も,別居までして,(時には弁護士を入れてまで)離婚を求められ,そして,その状態が続けば反発や抵抗も次第に弱まってきます。

 

したがって,冒頭の質問に対する回答は「モラハラは離婚原因になりづらいが,それでも離婚はできる」ということになります。

 

もっとも,モラハラを理由として慰謝料まで請求するとなるとかなりハードルが高いです。

妻の代理人となってモラハラ夫に慰謝料の支払を命じる判決を得たこともありますが,それは夫側のミスをうまく突けた点が大きいです。

 

ここが大きな分かれ目で,「相手にモラハラをしたという烙印を押して責任を問いたい」と考えるか,あるいは「とにかく早く離婚したい,できれば必要以上に揉めずに。」と考えるかで,道のりの険しさは段違いに変わってきます。

もちろんケースバイケースですが,後者の方が圧倒的に近道で,こちらの道を進むのが賢明であることが多いです。

                                            

                                               弁護士 大川 浩介

 

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