コラム 113 私が死んだら元夫が親権者になるのですか…?-親権者が死亡した場合- 2017/2/3

 

コラム113

離婚後,一人で子どもを育てているAさんから,タイトルのような質問を受けました。

Aさんは数年前に離婚しました。当時小学生であった長男の親権者はAさんです。婚姻中,Aさんの元夫は家族に日常的に暴力をはたらいており,長男は今でも父親のことを怖がっています。長男と夫は,調停での取り決めにより間接的な交流(定期的に近況を知らせる)をしているだけという状態です。

「もし,長男が未成年の間に私に万が一のことがあったら,元夫が親権者となるのでしょうか?元夫が長男の世話をすることは難しいと思いますし,長男も元夫と生活するの無理だと思うのですが,どうなるのでしょうか?」
Aさんは,風邪などで寝込むたびにもし自分が死んだらどうなるのか心配になるそうです。

離婚後に親権者が死亡した場合でも,もう一方の親(非親権者)が自動的に親権者になることはありません。

親権者である親が死亡した場合,子どもは「親権を行う者がいない」という状態になります。そのような場合は子どもに対し「未成年後見」が開始し未成年者後見人が(民法838条1項)子どもの財産などの管理を行っていくことになります。

この後見人は,親権者が遺言で指定することができます。(民法893条1項)
Aさんは,万が一自分に何かあった時はAさんの姉に息子をみてもらいたいと考えているようだったので,そのような場合は,遺言で息子の未成年後見人にAさんの姉を指定しておけばよいことになります。

また,遺言で後見人が指定されていない場合には,本人や親族等が家庭裁判所に未成年後見人の選任を申し立てることができます。(民法840条1項)
裁判所は,子どもの年齢,心身の状態や生活や財産の状況,子どもと後見人になろうとする者の関係等のあらゆる事情を考慮して後見人を選任します。

もっとも,元夫がAさんの死亡後に「親権者の変更」(民法819条)を行うことも出来ます。裁判所が,親権者を元夫に変更することが適切だと認めたら,元夫が親権者となることもあります。
Aさんのケースでは,仮に元夫が親権者の変更を申立としても,息子さんが父親を怖がっているような状況なので親権者の変更は認められないと思いますが,親子関係が良好であるような場合には,親権者の変更が認められることもあります。

Aさんは,さっそく姉と相談して遺言を作成しますとおっしゃっていました。

弁護士  辻 祥子

 

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