コラム 136 「死後離婚」は究極の熟年離婚? 2017/4/25

 

コラム136(圧縮)

最近,「死後離婚」という言葉が市民権を得つつあります。
配偶者の死亡により婚姻関係は終了しますので,「死後」に「離婚」することは不可能であり,このネーミングは法的には正しいとは言えません。

「死後離婚」というのは,正確には,配偶者の死亡後に配偶者の「姻族」との関係を終了させることを指します。
「姻族」とは,配偶者の「血族」のことで,「血族」とは,いわゆる血縁関係にある人のことで,生物学的な血縁に限られず,養子といった法的な血縁関係も含まれます。
3親等以内の姻族に対しては,民法上,扶養義務が生じるため,例えば,配偶者の親の面倒をみることは,法律上の義務に基づく行為であるということになります。

しかし,役所に「姻族関係終了届」を提出することによって,そのような扶養義務から解放されることになります。
この届出には期間制限もありません。

もっとも,上記のような扶養義務があったとしても,同居をしていないのであれば,それが事実上問われることはまずないです。

この「死後離婚」はあくまでも「死後」の手続きなので,配偶者の死亡に伴って生じる遺産相続や遺族年金の受給には何ら影響はありません。
そういう意味では,この「死後離婚」というのは,見方によっては,究極的なまでに離婚の時期を送らせた「離婚」であると表現できるかもしれません。
婚姻期間が長い熟年夫婦であれば「究極の熟年離婚」といったところでしょうか。
婚姻関係を維持する最大のメリットが経済面であるということは少なくなく,そのメリットを最大限活かした格好になります。

ただ,難しいのは,人がいつ亡くなるかは誰にもわからないということ。
離婚しない限り,その配偶者を扶養する義務はもちろんあります。
それに,人の死を望みながら生きることは健全であるとは言いがたいです。
ましてやその相手が一度は永遠の愛を誓った配偶者であれば・・・。

弁護士 大川 浩介

 

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