コラム 156 離婚訴訟と160万円の関係 2017/7/12

 

離婚調停が不成立となって,いずれかが離婚訴訟を提起する場合,訴状が裁判所に提出されます。

そこには,上の写真のように「訴訟物の価額」(訴額)が160万円と記載されていることがよくあります。

160万円の慰謝料を求めていればわかりやすいのですが,そのようなこともなく単に離婚だけを求めていても,このように書かれます。

そのため,この記述だけをみると,当事者の方は「自分は160万円なんて請求していないのに。」と奇異に思われます。

 

実は離婚訴訟の「訴訟物の価額」とされている160万円には実体はありません。

この訴訟物の価額によって裁判所に納める手数料が決まってきます。

たとえば,貸金の返還を求める場合は,その求める貸金額の多寡に応じて手数料額も変わってきます。

具体的には,貸金額が1000万円であれば手数料は5万円,貸金額が100万円であれば手数料は1万円と定められています。

 

しかし,ただ単に離婚を求める場合は,いくらの支払を求めているとは言えません。

そこで,法律で「財産権上の請求でない請求に係る訴えについては,訴訟の目的の価額は,160万円とみなす」と定められています。

 

したがって,なぜ160万円とされているかと言えば,それは,

・離婚を求める訴訟は,財産権上の請求でない請求に係る訴えであること

・財産権上の請求でない訴えの訴訟物の価額は,160万円とみなす

と規定されているためです。

 

離婚訴訟における160万円は,このように裁判所に納める手数料を算出するためであって,それ以上の意味は何もないことにご留意ください。

 

ちなみに,訴訟物の価額が160万円の場合の手数料は1万3000円です。

上の写真で手数料が1万5400円とされている差額2400円は,附帯処分と言って,離婚請求とともに養育費と財産分与を求めていることによります(各1200円の手数料がかかります)。

弁護士 大川 浩介

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