コラム 162 今井絵理子参議院議員は本当に「略奪不倫」なのか? 2017/8/3

 

元アイドルグループSPEEDのメンバーで今は国会議員の今井絵理子さんと神戸市議の橋本健さんとの「略奪不倫」がマスメディアを賑わせています。

 

例によって正確な事実関係は不明で,報じられているところからの話になりますが,ホテルで一夜を共に過ごしたことはお互いに認めている模様です。

ただ,「勉強会」をしていて,「一線は越えてはいない。」と弁明なさっているようです。

しかし,合理的な経験則の問題として,裁判実務では,男女がホテルの室内で夜をともにしたという事実からは,そこで男女関係が持たれたという事実が強固に推認されてしまいます。

「一線を越えていない。」と言うのであれば,そのことを積極的に反証する必要がありますが,反証が成功することはごく稀です。

 

これまでも,実際の訴訟のなかで「マッサージをしていただけ。」,「静かなところで相談をしていただけ。」,「カラオケをしていただけ。」といった反論を目にしてきましたが,もちろん,そのような主張が通ることはありません。

今井さんらも,この時は,実際に「勉強会」をしていただけだったかもしれませんが,それだけであったという証明はまず不可能であり,結果的に男女の関係を持ったという認定を覆すことはできないことになります。

 

ただ,仮に男女の関係があったとしても,橋本市議とその妻の婚姻関係が既に破たんしていた場合は,法的には不貞行為とは評価されません。

既に破たんしている婚姻関係を法的に保護する必要がないためです。

 

この点,橋本市議は「4,5年前から婚姻関係が破たんしていた。」などと述べているそうです。

しかし,自身のホームページでは2歳の子どもがいると紹介されており(あくまでもアップ時の年齢で現在はもう少し大きいのかもしれません),また,自身のfacebookでは家族で楽しく過ごしている写真がアップされているとのことです。

突如離婚を求めての別居が昨年のことで,離婚調停が今年に入ってからであるということからすると,この「4,5年前から婚姻関係が破たんしていた。」という主張も簡単には通りそうにありません。

 

もっとも,このような事実経過であっても,妻が離婚自体には既に合意していて,ただ離婚条件をめぐって調停が続いているというのであれば,既に婚姻関係が破たんしていたと認められる可能性が高いです。

しかし,続報によれば,妻は離婚自体を合意しているような事情もなさそうです。

そうなると,不貞行為に該当する可能性が十分にあることになります。

 

そのような事態になれば,たしかに慰謝料は限られた金額になるかもしれませんが,橋本市議は有責配偶者ということになって,妻が離婚に同意しない以上,今後10年以上にわたって離婚ができないことになります。

よく「離婚原因がどうであろうと,別居が3年とか5年とか続ければ離婚できる。」と誤解されている人がいらっしゃいますが,主として婚姻関係破たんの責任がある側からの離婚請求はそうは甘くありません。

有責配偶者からの離婚請求の場合は,相手方が離婚に応じない限り,もっともっと長い期間の別居が必要とされることが多いです。

そして,離婚が成立するまでの間,婚姻費用を支払い続けることになります。

これを怠るようですと,有責配偶者からの離婚は更に険しいものとなります。

 

このような「長期戦」を回避するためには,相当額の慰謝料を遙かに上回る支払をするなどの手当てが必要となります。

いずれにせよ,政治家としてはもちろん,離婚を求める夫としても,橋本市議は厳しい立場に立たされることになりそうです。

 

弁護士 大川 浩介

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