家庭裁判所が忙しい -家庭裁判所100万件超- 2017/2/14

 

コラム115(圧縮)

新聞記事によると,家庭裁判所がとりあつかった家事事件の件数が昨年(2016年)に初めて100万件を超えたそうです。
増加が目立つのが,相続放棄に関する手続と離婚に伴う争いに関係する案件だそうです。
離婚に関する争いについては,婚姻費用の分担に関する調停・審判は10年前と比較して約2倍,子どもとの面会交流を求める調停も10年前の約5千件から約1万4千件と3倍近く,子の監護者の指定を求める調停・審判の申立も10年前の3倍以上になっているそうです。離婚そのものの件数は,10年~15年前と比較するとわずかながら減っていることを考えると離婚の際に諸々の事項を裁判所で決めてもらいたいと希望する人の割合が増えていることがわかります。
このような状況の背景には,個人の法的な知識の高まりがあると感じています。
10年前だと,法律相談の際に婚姻費用の請求ができる(or支払義務がある)ことを説明すると「そんなことができるのですか!」とおどろく方もいらっしゃいましたが,現在では,ほとんどの方が相談前に知識をもっておられます。
また,親権や監護権についても従前は「母親」が取得するという考えが主流でした。しかし,夫婦間の役割分担が固定的でなくなってきたことに伴い,「当然に母親」という図式があてはまらない夫婦も増えてきています。父親も母親と同等(場合によっては同等以上)に家事育児にあってきたような夫婦では父親が「自分が育てたい」「自分の方が監護者としてふさわしい」という思いをもつことは珍しくありません。

これまでは,主張できなかったことを主張できるようになった結果,裁判所への申立が増えた,という見方をすれば,申立件数事件が増えたことを一概にマイナスにとらえるべきではないのかもしれませんが…。
養育費や面会交流などは,家庭裁判所で取り決めるのが果たして適切なのだろうか?と疑問をもつことがしばしばあります。これらの事項については取り決めのための異なった枠組みがあってもいいのではないかと感じています。

弁護士  辻 祥子

 

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