婚姻平等法案 2019/06/24

 

 

コラム20190624

 

6月3日,立憲民主,共産,社民の野党3党が,同性婚を法律上認める民法改正案(婚姻平等法案)を提出しました。

 

婚姻,家族のかたちが柔軟化する流れの中にあります。

 

さて,離婚の際に,当事者の性的指向や性自認が問題となる場面はあるのだろうか…と考えて,まず思い浮かぶのが民法770条1項1号「配偶者に不貞な行為があったとき」です。

 

従来の裁判例では,同性との性的関係は,不貞行為にはならず,民法770条1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとの
判断が多数でした。

 

しかし,近年では,

 

「日本国民法770条1項1号にいう「不貞」とは,性別の異なる相手方と性的関係を持つことだけではなく,性別の同じ相手方と性的関係を持つことも含まれるというべきであるから,被告の行為は,夫である原告との関係では,上記「不貞」に該当するというべきである」【東京地判平成16年4月7日】

 

と判断する例も登場しています。

 

そして,この裁判例,同性婚の成立に水を差すものではないと思います。

婚姻関係終了の場面での議論は,夫婦の協力・扶助という婚姻関係を創造していく場面でも性的指向の多様性を認める一歩になるはずです。
婚姻と離婚,それぞれの次元の議論が,車輪の両軸のように,ともに進歩していくことを期待しています。

 

                                                 弁護士 中 村 友 香

 

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