「夫婦げんかで実家に帰る」その前に… 2022/03/14

 

 

コラム212

夫婦間のけんかが原因で,一方が怒って実家に帰ってしまう。
夫婦げんかの末に,そうした行動がとられることがあります。

 

一昔前に,「妻が怒って実家に帰ってしまって・・・。」といった話を面白半分に話す漫談なんかを聞かれた方もおられるでしょう。

 

今の時代,実家に帰るのは妻に限られず,夫が実家に帰るケースも散見されますが,いずれにせよ,多くの方は,夫婦げんかに伴う典型的な行動として,「実家に帰る」という行動を真っ先に思い浮かべられるのではないでしょうか。

 

「実家に帰る」と言っても,一時的に距離を置くための場合もあれば,離婚を見据えて別居するために実家に身を寄せる場合もあります。

感情に伴い,突発的にこうした行動をとることは理解できなくはありませんが,自宅を飛び出して実家に戻る前に,いったんは冷静になられることをお勧めします。(ただし,相手からのDVなどの事情で早期に別居する必要性が高い場合を除きます。)

 

ご自身は,けんかの主な原因が相手にあると思っていても,家を出て実家に戻っている間に,「実家に帰る」という行動をとったこと自体に相手が腹を立て,自宅の鍵を替えて立ち入れないようにしてしまうことが珍しくありません。

 

離婚をする場合には,将来の双方の財産の分け方(財産分与)について話し合う必要があり,そのためには,相手名義の財産を把握する必要があります。

また,離婚するまでの生活費(婚姻費用)や,離婚後の養育費などの計算のために,相手の収入資料が必要です。

しかしながら,自宅に立ち入れなくなってしまうと,相手の財産や収入を容易に知ることができなくなり,離婚するまでに余分な時間が掛かることになります。

 

もちろん,別居後に,相手に財産や収入資料の提示を求める余地はありますが,相手が自宅の鍵を一方的に取り替えてしまうほど感情的になっている場合には,その提示にすんなりと応じてこないこともあります。

また,別居後,自宅に残した動産などの引渡しを巡って争いになることもよくあります。

 

そのため,離婚を見据えておられるなら,感情的に飛び出すのではなく,別居のタイミングや,それまでに準備すべき事項を弁護士にご相談いただいたうえで,適切な準備を整えてから,行動に移されることが望ましいでしょう。

 

なお,一時的に距離を置き,しばらく経ってから自宅に戻るつもりで別居した場合でも,その間に向こうが離婚を決意して,自宅の鍵を替えてしまって,自宅に立ち入れなくなってしまうということもあります。

 

このように,感情に任せて突発的に別居することには様々なリスクがつきものですので,くれぐれもご注意ください。

>>離婚に向けて別居したい方へ

                                           

                                                 弁護士 山崎 悠

 

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