妻が離婚で不動産を取得するには 2023/06/19

 

 

コラム228

妻が、離婚後も、そのまま婚姻時の自宅不動産に住み続けたい場合、どうしたらよいでしょうか。

 

婚姻後に自宅不動産を購入している場合、財産分与の対象となります。

 

妻が、財産分与で自宅不動産を取得できればよいのですが、これがそう簡単ではないのです。

 

財産分与では、基本的には財産分与の対象財産を、妻と夫で2分の1ずつ取得します。

 

そうすると、妻が自宅不動産を取得する場合は、自宅の価値の2分の1を代償金として夫に渡さなくてはならないのです。

 

自宅不動産以外にも、その他の財産が自宅不動産の価値に匹敵するほど多額である場合は、その他の財産で夫に代償金を支払うことが可能です。しかし、その他の財産が自宅不動産の価値に比べて少額であるような場合には、夫に対象金を支払うことは困難です。

 

また、住宅ローンが残っている場合は、妻が離婚後の住宅ローンを支払い、加えて自宅不動産の価値から住宅ローンの残額を引いた金額の2分の1を、夫に代償金として支払う必要があります。

 

しかし、妻に十分な収入がない場合には、妻が住宅ローンを支払うことは現実的ではありません。

 

このような事情で、妻が離婚後に自宅不動産を取得するのが困難なケースがままあります。

 

しかし、一方、子どもの生活環境を変えたくない、新たに賃貸物件を契約するのが難しいといった理由から、妻が、離婚後も自宅不動産に住み続けることを希望することも少なくありません。

 

さて、そのような場合、どう解決しましょうか。

 

ここからは、ケースバイケースとなってきますが、夫との話し合いで

 

・自宅不動産は、夫名義のまま、子どもが成人するまでは妻と子が無償で住む使用貸借契約を締結する

 

・夫が慰謝料代わりに住宅ローンの支払いの一部を負担する

 

・夫が住宅ローンを負担する一方で養育費を減額する

 

などなど、夫と妻の間で公平を図りつつ、妻と子が自宅に住み続けることができる方法を探っていくことになります。

 

                                           

                                                 弁護士 辻 祥子

 

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