無収入の場合の婚姻費用・養育費 2023/04/06

 

 

コラム221

 

婚姻費用や養育費は、双方の収入に照らして算出されます。

 

計算式自体はかなり複雑ですが、婚姻費用や養育費については算定表という表が作成されています。

 

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所 (courts.go.jp)

 

この表を用いると、互いの収入さえ明らかになれば、おおよその婚姻費用や養育費を簡単に計算できるため、調停手続でも、この算定表を元に婚姻費用や養育費を話し合うことが多いです。

 

ただし、ご自身又は相手方が無収入の場合、この算定表を用いる際に少し注意が必要です。

 

無収入なので、収入を「0円」としてもよいのではないかと思われがちですが、実際に無収入であっても、働こうと思えば働くことのできる能力(潜在的稼働能力といいます)があると判断される場合には、一定の収入があるとみなされるからです。

 

子育てをしている専業主婦の場合、3歳くらいまでの幼い子どもの面倒を見なければならない時期であれば、実際の収入のとおり、「0円」として差し支えありませんが、子どもが4歳以上になると、障害があるなどの事情がない限り、少なくともパート程度の収入(年間100万円ほど)を得ることが可能と判断されることが多いです。

 

また、精神疾患の影響により現在就労できていないとしても、その状態が将来的に継続することが見込まれなければ、無収入とは判断されない可能性もあります。

 

収入を0円として婚姻費用や養育費を計算すると、実際に裁判所が認める婚姻費用や養育費の金額と異なることがあるため、くれぐれもお気をつけください。

                                           

                                                 弁護士 山崎 悠

 

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