最高裁が示すように100日間の再婚禁止規定は絶対に必要? 2016/1/13
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photo by Jeff Djevdet
女性のみ6か月間の再婚を禁止した民法の規定は,平成27年12月16日に言い渡された最高裁判決で違憲とされました。
ただ,最高裁は,この規定の「全部」を違憲としたわけではありません。
再婚禁止期間を設けないと,現行の民法の規定では,父親の推定の重複が生じます。
すなわち,民法は,婚姻から200日を経過して生まれた子どもは夫の子であると推定する一方で,離婚後300日以内に生まれた子どもはその離婚した元夫の子であるとも推定しています。
そのため,離婚して僅か50日後に再婚できるとすると,たとえば離婚から275日後(再婚から225日後)に子どもが生まれた場合,その子どもは,離婚した前夫の子であると推定されると同時に現夫の子であるとも推定されてしまいます。
ただ,このような父性の推定の重複を防ぐという目的からすれば,再婚禁止期間を100日とすれば足り,6か月も再婚を禁止する理由はないことになります。
そのような見地から,最高裁の多数意見は,この100日を超える規制を違憲であると判示しました。
これを受けて,まだ民法の規定は改定されていませんが,戸籍実務では,離婚から100日が経過すれば再婚が認められるようになっています。
ただ,私は,そもそも離婚後300日以内に生まれた子どもを前夫の子であると推定することに違和感をおぼえます。
昔から「十月十日(とつきとおか)」と言われているように、妊娠期間は約10カ月つまり300日であり,この推定は,離婚直前や離婚時に懐胎した子どもをも前夫の子と推定することを意味します。
しかし,離婚する相手と離婚間際に性交渉を持つケースは比較的まれで,ここまで推定を効かせる必要性に乏しいように思われます。
この推定を100日だけ短くする,つまり,離婚後200日以内に生まれた子どもを前夫の子であると推定することにすれば,再婚禁止期間を全廃しても,父性の推定の重複は生じないことになります。
あるいは,推定の重複が生じる場合は,「離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子である」とする推定は効かない,と定めることも可能かもしれません。
いずれにせよ,最高裁の多数意見を超えて女性の再婚禁止期間を完全になくす余地は十分にあるように思います。
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