俳優大沢樹生さんの裁判で親子関係が否定されたのは当然のこと? 2015/11/24コラム

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                               photo by MIKI Yoshihito

元「光GENJI」で俳優の大沢樹生さんが,元妻の女優の喜多嶋舞さんとの間の長男さんが実子ではないことの確認を求めていた訴訟で,東京家裁は親子関係がないとの判決を言い渡しました。 DNA鑑定では大沢さんが長男の父親ではないという結果が出ている模様です。そうなると,親子関係がないとされるのは当たり前ではないかと思われるかもしれません。しかし,実は,この長男さんが生まれてくるのがあと一日遅ければ反対の結論になっていたと考えられます。 それは,もし一日遅かったら,長男さんは大沢さんと喜多嶋さんの間の嫡出子(ちゃくしゅつし)であるという推定を受けるためです。

わかりやすく言うと,民法には,結婚して200日を経過して生まれた子は嫡出子すなわち夫婦の間の子どもであると推定する規定があります。

この長男さんは結婚からちょうど200日目に生まれたとのことで,そのため,この推定がぎりぎり及びません。

大沢さんの場合と違ってこの推定が及ぶケースで,最高裁は,DNA鑑定によって夫の子どもではないことが判明していても,親子関係を否定しませんでした。 嫡出の推定を受ける場合は,この推定を覆すためには,出生から1年以内に「嫡出否認の訴え」という特別な方法しかとることができないとされています。

ただ,この最高裁の事案では子どもが生物学上の父と一緒に暮らしていたこともあって,親子関係を否定しなかったことには賛否両論があり,最高裁の裁判官のなかで反対意見もありました。

大沢さんがなぜこのような訴えを提起したのかは明らかにされていませんが,長男さんが生まれてくるのがあと一日遅ければ,このような判決が下されることはなかった(そもそも大沢さんが訴えることもなかったことでしょう)わけで,長男さんのことを考えると複雑な心境になりますね。

弁護士 大川 浩介

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