共同親権 -離婚後も子どもに責任をもつということ 2016/4/22

コラム 41 共同親権 -離婚後も子どもに責任をもつということ  2016/4/22

 

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私がまだ学生の頃,海外でホームスティしている友人を訪ね,友人が滞在しているカナダ人夫婦のお宅に1週間ほどお世話になったことがありました。
ある日の夕方,私と友人が外出から戻ると,ご夫婦の家に大学生くらいの男の子が来ており,リビングのソファに座りご夫婦の一人娘(高校生)と一緒にテレビをみておしゃべりをしていました。娘さんのボーイフレンドかなと思っていました。
そのうちご主人が帰ってきてその男の子を私に紹介してくれました。
「妻の息子です。」
「?」
すぐに意味が分からなかった私に友人が説明してくれました。
このご夫婦は再婚同士で,夫,妻ともに前婚の子がいるそうで,その男の子は妻の前婚の子でした。前婚の子はそれぞれ元の配偶者と暮らしているけれど,このように時々遊びに来て時には泊まっていくそうです。その日は,妻の子が来ていましたが同じように夫の子が遊びに来ることもあるそうです。
離婚をして別々に暮らすようになった親子がこのように自由に往き来していることは当時の私には非常に新鮮でした。20年以上前のことです。
ご主人,娘さん,妻の子が3人でテレビをみながら談笑しています。ご主人は,妻の子に「最近,学校はどう?」などと話しかけ,妻の子も学校や日常生活の様子を話します。そのうち,ご主人が妻の子に庭にある重い荷物を運ぶのを手伝ってと声をかけて2人で庭に出て行きました。
ご主人と妻の子の関係も私には驚きの一つでした。「親子」ほどは近しい感じではないけれど「親戚のおじさんと甥っ子」くらいの雰囲気です。
このお宅では,壁に家族の写真がたくさん貼り付けてあるコーナーがありました。よく見ると,ご夫婦とその一人娘さんの写真だけでなく,夫,妻,それぞれの前婚の子の写真も何枚か貼ってありました。
日本との家族観の違いを感じました。

急に話がとびますが,離婚後の親権のありかたについて日本は「単独親権」となっています。諸外国では「共同親権」の国が多く,日本も共同親権にすべきだという議論が起こっています。共同親権の議論に触れると,私の頭にはいつもこのカナダ人夫婦が浮かびます。
私も基本的には共同親権という考え方は支持しています。
しかし「親権」は当然ながら責任を内包するものです。離婚後別居して暮らす子どもに対し同居して暮らす親と同等の責任をもつ意思があるのか,責任をもつことができるのか,例え自分が再婚をした場合であっても。
日本での共同親権導入については,日本人の家族観や家庭内の役割分担の現状を踏まえた議論が必要だと感じています。

弁護士 辻 祥 子

 

 

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