「私が悪いんです」-夫婦という危険な関係- 2016/8/5
コラム 71 「私が悪いんです」-夫婦という危険な関係-2016/8/5
離婚相談を受けた際,客観的に見れば婚姻関係の破綻についてその方に責任がない場合であっても,「私が悪いので…」「こうなったのも私のせいなので…」と口にされる方が一定数おられます。
どのような点で自分に責任があると感じておられるかを尋ねると,いくつかのエピソードを話されますが,ほんのささいなことであったり,どちらか一方が悪いというのではなく夫と妻の双方に責任がありそうな内容です。
このような発言をされる方に共通しているのは,配偶者との関係性です。配偶者の性格が激しく日頃から罵られ続けていたり,配偶者の意に沿わないと理不尽に無視をされたり,配偶者との間に上下関係ができてしまい精神的に支配されている状態です。
離婚を考えておられるくらいですから,皆さん,相手の振る舞いが理不尽であることにも気づいておられるし,自分でもこの支配関係にはこれ以上耐えられないと感じておられるのですが,頭では分かっていながらも長年の相手との関係性で自分を責める習慣から簡単には抜け出せないようです。
別居がきっかけとなり,このような支配関係から逃れて自分と相手の関係を冷静に見ることができるようになる場合もありますが,別居をしてもお金のことや子どものことで頻繁に接触をしていると支配関係から逃れることが難しい場合もあります。
支配関係が続いたまま離婚協議をして,相手から求められるがまま法外な慰謝料の支払いに合意してしまう寸前の人もいました。
配偶者とこのような関係性にある人は,離婚の協議を始める前に,自分と相手の関係を冷静に見ることができるようになるまで一定期間相手と距離をおく必要があると感じています。
弁護士 辻 祥 子
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