年末ジャンボの季節です-宝くじの当選金と財産分与- 2016/10/28

 

コラム 91 年末ジャンボの季節です-宝くじの当選金と財産分与- 2016/10/28

 

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あるアンケートで「宝くじ一等が当選したら,今のパートナーと離婚したいと思いますか?」という質問に対し,「Yes」という回答が15.4%,「No」という回答が84.55%だったそうです。
「Yes」と応えた人の理由は,「パートナーに気兼ねなく自由にお金を使いたい」といった自由満喫系,「すでに破綻した関係を清算したい」「離婚後の経済的不安がなくなるので離婚したい」といった元々離婚願望系などがありました。

ところで,宝くじの当選金を手にした場合,離婚に際してそれを独り占めできるのでしょうか? それとも宝くじの当選金も離婚にともなう財産分与として分けなくてはいけないのでしょうか?

まず,夫婦で相談をして宝くじを購入していた場合には,離婚に際して等しく折半をすることになると考えます。これは,金銭の出所がどちらか一方の小遣いやへそくりであった場合もその金銭が婚姻後の収入である以上,やはり等しく折半になると考えます。

では,夫婦の一方が,他方に相談することなく自分の小遣いで宝くじを購入していた場合にはどうでしょうか?小遣いといえども婚姻後の収入の一部で購入していることを考えれば,独り占めというのは不公平なような気がします。しかし当選しなかった場合には小遣いが減るというリスクを負って自分の判断で宝くじを購入したのに,何のリスクも追わなかった相手にも自分と同等の利益がもたらされるというのも腑に落ちない気がします。
このような場合には,等しく折半ではなく,購入した方が他方よりも多い割合を取得するという分与方法が妥当だと考えます。どの程度の差を設けるかは,購入資金となった小遣いの位置づけや他の財産分与の状況を考慮して決めることになります。
裁判所では「財産分与は等しく分ける」と考えに基づいて判断されていますが,いずれか一方が特殊な能力や努力によって築いた財産については,例外的に財産分与の対象外としたり,取得する割合に差を設けるといった判断をしている裁判例があります。宝くじの当選金も,夫婦の一方が独自の判断で購入した場合には,このような例外的な場合に相当すると考えます。

さて,みなさんが宝くじを購入するとしたら…パートナーに相談して購入しますか?それともこっそり購入しますか?

弁護士 辻 祥 子

 

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